賃貸の法人契約(社宅)について

不動産豆知識

大手町駅、東京駅などの大手企業に勤務される方の物件探しの際、法人名義で契約をするケースが多くあります。何度かお引越しの経験がある方は手続きに慣れていますが、初めての転勤やご就職される新入社員様は何から手を付けて良いのか分からないという方も多いため、賃貸マンションの法人契約・社宅契約について、できる限り分かりやすくご説明します。

 

そもそも法人契約って?

法人契約とは、会社の名義でお部屋を借りる契約です。

通常お部屋を借りる場合は、入居される方が名義人となり契約をしますが、法人契約の場合、お勤めの会社が名義人となり契約をします。

例外として、提携の代行会社(社宅代行会社)に業務を委託している場合があり、名義人が代行会社となり、代行会社名義でお部屋を借りて、その部屋を転貸という形で入居者がお住まいになるケースもあります。

 

法人契約は審査が厳しい?

個人契約、法人契約どちらも入居審査があります。一概に法人契約の方が審査が厳しいとはいえませんが、法人契約の場合、入居される方のご収入などは基本的には関係ありませんので、貸主(オーナー)は会社の規模を基準に審査をします。貸主や管理を任されている管理会社によって審査の基準が異なりますので注意が必要です。

例として上場企業及びその関連会社などは審査に必要な書類はほとんどありません。社宅代行会社が入る場合などは委任状が必要となりますが、委任状も代行会社が用意をしてくれますので、入居者の手続きは物件を決めて会社に申請を上げるだけです。

それ以外の企業や自営業の方につきましては審査時に、会社概要、会社謄本、決算書などが必要になることがありますので、入居される方はお勤めの会社がそういった書類を提出してもらえるか確認と、会社代表の方は予め用意しておくと手続きがスムーズです。

審査の基準は物件によって異なりますので当店ではお客様の会社に合わせて物件を紹介しておりますので、細かな手続きや物件の選定は全ておまかせください。

 

部屋探しをされる前にするべきこと

上場企業や代行会社が入るような企業様の場合、審査はほぼ問題ありませんが会社から契約条件の指定がある場合がありますので確認が必要です。

指定仲介業者

最重要ポイントでもある項目です。お勤めの会社から仲介業者の斡旋があり、「その会社を通さなければ物件の契約はできませんよ」というケースです。この場合いくら良い物件に巡りあっても契約は出来ませんし、物件を探し案内をしてもらった会社はタダ働きになってしまいます。指定の仲介業者があるのか、もしくは仲介業者の斡旋はあるが別の会社で探した物件でも契約ができるのか必ず確認をしてください。

 

家賃・敷金・礼金の上限

会社により契約が可能な家賃や敷金礼金が決まっていることがあります。単身者やファミリー、勤続年数などにより金額が決まっていることが多く、敷金礼金は各2ヶ月までの会社が多いです。

注意点としては、家賃上限が家賃だけの上限なのか家賃と管理費・共益費を合わせた上限なのかという点です。

※1家賃上限が家賃10万円の会社の場合

家賃100,000円+管理費10,000円 → 契約可

家賃105,000円+管理費5,000円 → 契約不可

 

※2家賃上限が家賃+管理費を合わせて10万円の会社の場合

家賃90,000円+管理費10,000円 → 契約可

家賃10,000円+管理費5,000円 → 契約不可

このように上限の設定によって選べる物件は変わりますので確認が必要です。

また※1の場合、本来は契約不可である家賃105,000円+管理費5,000円の契約条件を、交渉により家賃を管理費へ振り替えて契約可能な、家賃100,000円+管理費10,000円へ変更できる可能性もありますので、仲介業者に相談してみましょう。。

 

契約開始時期・契約締結日

転勤や就職の時期に合わせて希望通りの入居日(契約開始日)となれば良いのですが、法人契約の場合通常は物件の決定(お申込み)をしてから入居までは2週間ほど掛かります。急な転勤の場合は早急に物件を探さなければなりません。

また反対に転勤が予め分かっている方や、就職が決まってる方も注意が必要です。物件の決定から入居までは2週間ほどで手続きが完了しますが、東京都心の物件は入居日を先延ばしにすることが難しいからです。お申込みから2ヶ月後に入居を希望されても貸主はその間家賃が入ってきませんので、まず2ヶ月も待ってくれません。

お勤めの会社によっては、「異動の辞令が出てからでないと契約ができない」「○月○日以降の契約開始日でないと契約できない」などの決まりもあるため、希望に合う良い物件であっても契約開始日や契約締結日の折り合いがつかなければ入居はできませんので確認が必要です。

 

その他契約条件

その他にも企業様によって指定の契約条件があります。立地についての条件で会社から○Km以内や通勤○分以内であることが条件として付いていたり、木造や1階のお部屋は契約不可など、様々な条件が付いている場合もありますので、こちらも確認が必要です。

法人契約における会社の規定が書類として準備をしてある会社も多く、書類を読んでも聞き慣れない単語があり、わかりにくい場合はその書類を仲介業者に渡してもらえるとスムーズです。書類がない場合は「せっかく決まったお部屋が契約不可だった」なんてことがないように、ご来店前にお勤め先の担当の方へ予め確認頂くことをオススメします。

 

 

いざ お部屋探し!

前項で説明した確認項目を一通り確認が済んだら、実際にお部屋を探しましょう。スーモやホームズなどのポータルサイトを利用するのも一つの手ですが、前項でお伝えしたとおり契約不可の物件かどうかの判断は難しいので、物件探しは不動産屋に任せるのが楽です。

ご来店が可能な方であれば、お店でのお部屋探しが一番スムーズです。リアルタイムの賃貸情報の中から図面や写真をご覧頂きながら物件を絞り込み、その日のうちに内見も可能です。探すエリアが決まっていない方も、希望の条件や上限家賃から勤務先に通いやすく住みやすい街をご提案しますので、まずは住みたい街、そして現実的に住める街を一緒に探しましょう。

時間がなくてお店に行けない方や遠方の方は、条件を伝えてもらえればメール等で物件のご紹介も可能です。ただ物件情報は常に流動しており、都内中心部の賃貸物件は人気も高く募集が出てからお申込みが入るまでが郊外に比べ非常に早いので、1、2週間ほどで募集は終了してしまいます。

入居までの時期に余裕がある場合は、おおよその相場や探すエリアを予め決めておき、いざ入居が近づいたらお店で最新の情報の中から物件を決めましょう。

 

 

物件の決定(お申込み)

お店に行ってからの流れは通常の流れとほとんど変わりはありません。

物件とエリアの提案→物件の絞り込み→内覧→申込み

お申込みは申込用紙に記入をして貸主または管理会社へFAXをすることで、物件を一番手で押さえることができます。その際の注意点としては、当日中にお申込みをするということです。法人契約で入居者が社員の場合、お目当ての物件が見つかったら会社へ報告をして、担当部署や社宅代行会社から申込書をもらう流れになるのですが、ここでタイムラグが生じます。

例えば土曜日にお部屋を内覧していい物件が見つかる→土日は会社が休みなので会社への申請は月曜日→会社から申込用紙届くのが水曜日

この場合、実際に貸主へ申込みができるのは水曜日になってしまいます。当然その間は募集は出続けておりますので、万が一他社からお申込みが入ってしまった場合はそのお部屋の契約はできません。

このようなことにならないためにも、気に入った物件が見つかった場合はその日のうちに入居者の方が申込書を記入してお申込みを入れて、一時的に物件を押さえた状態で会社に申請をしてください。そうすることで気に入った物件が他に取られる心配もありませんので安心してご契約を進められます。

お申込時に必要なものは(顔写真付き身分証明書、保険証、社員証)これらがあればお申込みの手続きは可能です。

 

 

審査・契約・入居

晴れて物件が決まった後は、入居者の方には会社に申請をしてもらいます。後の手続きは会社同士のやり取りになりますので、引越し業者の手配など、お引越しの準備をしておきましょう。

貸主の審査基準やお勤めの会社の規模、規定によってはその後の必要書類として住民票や収入証明書が必要となったり、別途お手続きが必要となる場合もあります。

契約金については、会社負担の費用と保険料などの個人負担になる費用もありますので、入居前に入金をします。電気・ガス・水道などの各種ライフラインの手続きも予めしておきましょう。鍵は入居日または入居日の前日に仲介業者や管理会社で引き渡しをします。

 

 

最後に・・・

法人契約は個人契約とは違い、探し方や契約の進め方が違い戸惑うこともありますが、最低限必要な確認事項をクリアにしておけば特に難しいことはありません。あとは法人契約に慣れている、仲介業者を見つけて物件探しをするだけです。安心して任せられる仲介業者を見つけて良いお部屋をみつけましょう。

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