訳あり物件に気をつけて! 意外と知らない訳ありのこんな理由

不動産豆知識

訳あり物件と聞くと、まず思い浮かぶのは「事故物件」(人が亡くなったお部屋)ですが、他にも沢山の訳あり物件が世の中には存在します。小さな訳や生活に支障をきたす大きな訳あり物件まで。実際にあった訳あり物件と、間違って訳あり物件に入居してしまわないための方法を紹介します。

そもそも訳あり物件って?

一口に訳あり物件とは言っても、特に明確な決まりがあるわけではありません。私たち不動産会社の中では、「何かしら理由があって周辺の家賃相場よりも安くなっているお部屋」を訳あり物件と呼んでいます。
掘り出し物件=お得な物件・・・ではありません!
インターネットで物件探しをしていると、「安いお部屋見つけた!掘り出し物だ!」と相場よりも安いお部屋が見つかることがあります。でもちょっと待ってください。土地の相場はある程度決まっていますし、お部屋のオーナーはできる限り高く貸したいと考えていますので、住みにくい理由がなければ相場通りの家賃で部屋の募集をかけます。そのため【相場よりも極端に安い】場合は訳あり物件の可能性”大”です。

訳あり物件は入居者に説明する義務はない?

訳あり物件には沢山の理由がありますが、その全てを入居者様へ説明する義務はありません。
募集図面に注目

物件の募集をしている元付業者(募集元の業者)の募集図面に「告知事項有り」「心理的瑕疵あり」などの表記がある場合は、紹介した業者は入居者様へ説明する義務がありますが、表記がない場合は説明の義務はありません。

 

告知事項が消える物件?

告知事項は前入居者様がお亡くなりになった場合などに募集図面に表記されますが、その後に何度か入居者が入れ替わると元付業者が告知事項を消す場合があります。
「一人入れ替わったら消える決まりがある」という噂もあるようですが、これは間違いで何人入れ替わっても告知事項がある物件もありますので、特に明確な決まりがあるわけではありません。
ここで問題なのが告知事項が消えてしまっている物件の場合、紹介する業者が以前の事故を知らない、もしくは知っていても隠すような業者だった場合“知らずに事故物件に住んでしまう”危険性があるということです。
地元の不動産屋であれば、事故のあったマンションを知っていたり、相場よりも安いことに気づくことができますが、家賃相場がわかっていない不動産屋さんに頼んでしまうと、知らずに訳あり物件に住んでしまうかもしれませんので気をつけましょう。

 

いろんな理由で安くなります 本当にあった訳あり物件

1階が飲食店


マンションの1階に飲食店が入っている物件は、相場よりも家賃が安くなります。特に重飲食(ラーメン、焼肉、中華料理、焼き鳥、カレー)の店舗が入っている場合、油の臭いや、カレーのスパイスの薫りがお部屋の中まで入ってくることもありますし、虫が出やすいなどの理由もあります。また朝まで営業しているようなお店であれば「うるさくて眠れない」なんてことも。

隣人にクレーマーや迷惑な人が住んでいる


隣の入居者や、下の階に厄介な人が住んでいるパターンです。少しの物音でインターホンを鳴らして文句を言ってくるような人や、夜中に大音量で音楽を流す人など。周りにどんな人が住んでいるかは住んでみないと分からないことも多いですが、住むエリアや、しっかりとした管理会社を選ぶなど、リスクをできる限り回避することもできます。

家の前や裏が「お墓」


この写真は実際にあるマンションのバルコニーから撮影した写真です。こちらは墓地の隣のマンションで、バルコニーから見える景色が一面お墓の物件です。
「お化けが出た!」、、なんて話は実際には聞いたことはありませんが、敬遠される方も多いため少し安く募集が出ています。
今後、目の前に大きなマンションが建つ心配もなく、日当たりも良いですし、静かな場所ですので気にしない方にはお得なお部屋かもしれません。

高速道路・大通り沿いの物件


こちらも実際にあるマンションのバルコニーから撮影した写真です。目の前に首都高速と大通りがあり、昼夜問わず車の走る音がします。防音のためにペアガラスや二重サッシになっていたりと対策をしているマンションも多いですが、うるさいのが苦手な方には不向きなマンションかもしれません。
実際に住んでいる方の話によると「音は住んでいるうちに慣れてしまうし、駅からの帰り道に細い道を通らないので安心」だそうです。

線路沿いの物件


線路沿いのとあるマンション。手が届きそうなほどの目の前を電車が通過します。しかも、山手線、京浜東北線など5路線以上も通っており新幹線まで前を通ります。山手線は2,3分に1本は走っていますし、上下線走っておりますので、無音の時間は30秒もありません。
当然家賃は安くなっていますが、駅近で音を気にしない方には人気のマンションです。

オーナーが変わっている人

家賃は安いけどよく見ると募集図面に手書きの注意書きが、、
「女性限定マンション(若いOL求む)」
オーナー(男性)はマンションの1階に住んでいるらしく、とにかく若い女性の入居者を募集しているそうです。「女性の方が部屋をきれいに使うから」とのことですが、ちょっと怖いですよね。

タバコの臭い・ヤニ汚れ


お部屋の中でタバコを吸うことは悪いことではありませんが、前入居者が部屋の中で吸っていた場合、臭いが残っている場合があります。ひどい汚れの場合は壁紙を張り替えることも多いですが、木枠の部分や、クローゼットなどに臭いが染み込んでおり、完全には臭いは取れません。
あまりにも臭いがひどい場合には通常の家賃ではなかなか借り手はいませんので、家賃は安くなります。

エレベーター無しのお部屋


2階や3階であれば階段で登ってもそんなに苦ではないですが、4階、5階になるとさすがに大変です。通常は上階にいくほど家賃は高くなりますが、エレベーターがない場合は上階の方が家賃が安くなる傾向があります。「2階の家賃よりも4階の方が安い」そんなときはエレベーターが付いているか確認しましょう。

定期借家契約


賃貸の契約には一般的な「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。定期借家契約とは簡単にいうと「期限が決められた契約」です。普通借家契約は2年間の契約が一般的で、更新をすれば住み続けることができますが、定期借家契約の場合、お部屋のオーナーが転勤の間の1年間だけ貸しに出したり、取り壊しが決まっている物件などは「1年間の定期借家契約」や「201○年○月までの定期借家契約」といった形でその期限が来たら契約は終了します。住める期間が短いお部屋ほど家賃はお安くなります。

繁華街近くの物件


周りの騒音や治安の面からも心配な物件です。飲み屋さんや風俗店、パチンコ店などが隣にあるようなマンションはやはり家賃も安くなっています。「駅が近い」というメリットもありますので、男性の方はあまり気にせずお住いになる方もいます。

リノベーション物件


最近流行りのリノベーション物件ですが、こちらも注意が必要です。リノベーション物件は築30、40年経っている物件も多く、室内は新品同様にきれいになっていますが、きれいになっているのは基本的に’お部屋だけ’です。
排水の配管や給湯器は古いままの場合もあり「水の出が弱い」「排水がつまる」などの不具合が起きることもあるようです。特に排水管などは建物全体の問題なので修理ができないこともあります。

真っ暗な部屋(湿気・カビ)


都内のマンションは狭い敷地に隣接して建っていることも多いため「バルコニー南向き」と期待をして見に行ったら目の前に大きなマンションがそびえ立ち、日当たりが全くないお部屋だった。なんてこともよくあります。
お一人暮らしだと「昼は家にいない、寝るだけ」という方も多いので日当たりを重視される方は少ないですが、あまりにも日当たりが悪く風通しが悪いと湿気がこもりカビが発生します。健康にも良くありませんので避けましょう。

ゴミ屋敷


何年か前にお客様をご案内した時のこと。そのマンションはL字型の形をしたマンションでした。お部屋はL時になっている角の部屋だったのでバルコニーに出ると隣のお部屋のバルコニーが見えます。
、、なんと「ゴミで埋まっていました、、」
カーテンもしておらず、天井まで積み上がったゴミがカーテンの代わりになっていました。部屋の内装、設備は申し分なし。やはり安いには理由がありました。

実はシェアハウス


間取り図上では一見すると普通のアパート。お部屋の中にキッチンもありますし、バストイレもあります。しかし募集元の会社に確認してみると「はじめは一人でお住まいになれますが、後から違う入居者が入ってくる場合があります」とのことでした。
ある日突然、見ず知らずの人が同じ部屋で暮らすことに抵抗がない方であれば、安くてお得なお部屋となるのでしょうか。

ねずみ部屋


以前いらしたお客様は、ねずみが天井裏を走り回る音に眠りを妨げられ、糞やダニの影響で湿疹が出てしまい、今すぐに引越したいという切実な悩みを抱えたお客様でした。
場所は、とあるターミナル駅の繁華街の中にある築3年のアパートです。家賃を聞いてみると、やはりそこも相場よりもだいぶ安いお部屋でした。

鳩マンション


誰かが面白半分で餌をあげてしまうことが発端で、鳩が集まりだし巣をつくり、大量に鳩が住み着いてしまったマンションです。臭いや糞の被害に遭うことが多く、追い払うことも困難です。
内見の際はバルコニーに鳥の糞らしきものがないか確認と、鳥よけのネットが張っているマンションは鳩がいる可能性が高いので気をつけましょう。

下り天井・梁(はり)のある物件

これは募集図面上では表記されていないことも多く、最上階のお部屋などは天井が斜めになっていることがあります。RC造(鉄筋コンクリート造)などで梁が大きく張り出しているお部屋も圧迫感があるため、部屋が狭く感じられることもあり家賃は少し安くなっています。

近隣に宗教団体の施設


近隣に宗教団体の施設があり、勧誘のため訪問に来ることがあるようなお部屋です。実害のないことも多いですが、あまりにも熱心な勧誘があると気は休まらないかもしれません。毎朝、太鼓の音やお経のような音が聞こえるようなお部屋もあるそうです。

近隣に反社会的勢力


暴力団などの反社会的勢力の事務所が近隣にあるマンションです。告知事項として表記されることもあり、安全のためにも避けたほうがいいでしょう。

事故物件


事件、事故などで人が亡くなったお部屋です。具体的には殺人、自殺、病死などお部屋の中で起きたことや、転落事故など共用部等で起きた物件です。家賃は通常家賃より安くなり、事故が気にならないという方も多く、募集が出るとすぐに決まってしまうことが多いです。
家賃は通常より安くなりますが、2割引き程度です。気をつけてほしいのは、事故があった隣の部屋や事故から何年も経ち、入居者が何度か入れ替わっているお部屋は通常家賃とほとんど変わらない家賃で募集が出ていますので、「なんだか安いお部屋だったけど実は隣が事故物件だった」なんてことにならないように注意してください。
また、事故直後のお部屋は、臭いが残っていたり、住んだ後に体調を崩してしまう、なんて話も本当にありますので十分気をつけてください。

まとめ

いかがでしたか? 今回紹介した以外にも訳あり物件は沢山あります。見に行ったときに安い理由が分かる物件もあれば、住んでからでないと分からない物件もあります。失敗しないために大切なことは、安いと思ったら不動産屋さんに確認すること。そして安い理由をきちんと説明してくれる不動産屋さんに頼みましょう。

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